Cascina Lieto

Cascina Lieto(カッシーナ・リエート)

“モスカート”の常識を、静かにひっくり返す。

イタリア|ピエモンテ|ランゲ(Castiglione Tinella)

概要

Cascina Lieto(カッシーナ・リエート)は、ピエモンテ州ランゲ地方・カスティリオーネ・ティネッラに根を下ろす、 佐々木ヒロトさんと理恵さんが手掛けるワイナリーです。ヒロトさんは1997年よりイタリアに移住し、長年にわたり イタリアと日本をつなぐ活動を続ける中で、畑からカンティーナ、そして食卓までを含めた「造り手たちの情熱」に 深く触れ続けてきました。そこで育まれた憧れと決意が、Cascina Lietoという“新しい道”へつながっています。

2017年、世界遺産にも連なるピエモンテの丘陵地で、カスティリオーネ・ティネッラと近隣に合計0.8haの畑を取得。 ワイナリー名の「Lieto(リエート)」は“幸せ・喜び”を意味し、共にワイン造りを行う理恵さんの名前も重ねたものです。

テロワール

カスティリオーネ・ティネッラはDOC「Moscato d’Asti(モスカート・ダスティ)」の中心地でもあり、 畑には高樹齢のモスカートやコルテーゼが残る希少な区画があります。1960年代に植えられた樹も多く、 長い年月を経てもなお樹勢が保たれていることは、この土地が丁寧に守られてきた証でもあります。

フィロソフィー

Cascina Lietoの核にあるのは「完熟」の捉え方です。糖度計や果肉の甘さではなく、 “種子の完熟”を強く意識し、収穫まで十分な時間を費やします。 栽培は土地に負担をかけない方法を実践し、周辺の生物環境と畑の回復を重視。 畑の地力が整うまで、2017年は収穫を見送り、2018年はごく僅かな実験的醸造。 本格的な収穫・醸造は2019年からスタートしました。

また、モスカート・ダスティ=甘口微発泡、という世界的なイメージに対して、 Lietoが目指すのは完全に発酵が終わった“残糖のないモスカート”。 「完熟し糖度の高まったモスカートは、決して軽い早飲みではない」 ──その信念のもと、周囲より2〜3週間遅い収穫もいとわず、骨格と繊細さを併せ持つ液体を狙います。

醸造と熟成

種子まで完熟したブドウを、果皮とともに発酵(マセレーション)。期間を日数で固定せず、 アルコール発酵が終わり、果帽が落ち着き沈み始めるまでを見極めて圧搾します。 圧搾後はしっかりと熟成期間を確保し、ボトリング後も時間をかけてからリリース。 「発酵途中の“無防備なワイン”を守る“ゆりかご”として、果皮・種子が重要」という考え方や、 「樽でフォルム(全体像)を作り、瓶でディテール(細部)を作る」という時間軸の美学が貫かれています。

代表的ワイン

ここではCascina Lietoを象徴するキュベの一部をご紹介します(商品一覧は下部のコレクション表示をご利用ください)。

  • Bianco Croche(ビアンコ・クロシェ) — モスカート主体+コルテーゼ。果皮発酵〜瓶内再発酵を経た、香りと緊張感のあるフリッツァンテ。
  • Rosso Croche(ロッソ・クロシェ) — モスカートとバルベーラを別々に仕込み、熟成後にアッサンブラージュ。淡赤の微発泡で、軽やかさと芯を両立。
  • Moscato “Lieto”(モスカート “リエート”) — 高樹齢モスカートを完熟で収穫し、果皮・種子まで表現。十分な熟成を経てリリースされる“骨格あるモスカート”。
  • Bianco “Sensazione”(ビアンコ “センサツィオーネ”) — モスカート+コルテーゼ。開放式の大樽で果皮発酵し、質感・一体感・奥行きが増すスタイル。
  • Moscato LR(モスカート・リエート・リゼルヴァ) — 果皮発酵後、長期熟成(タンク+瓶)で仕上げるリゼルヴァ。凝縮と立体感、余韻の長さが魅力。
  • Barbera “Litmo”(バルベーラ “リトモ”) — ピエモンテの核となる赤。果実の密度と酸の躍動を軸に、食卓で映える赤を目指す一本。

エピソード

Cascina Lietoの歩みには、尊敬する造り手たちへの“背筋の伸びる視線”があります。 「彼らに飲ませても恥ずかしくないワインを造らないとね」──そう笑いながらも、 収穫から醸造、熟成、リリースまで時間を惜しまない姿勢は一貫しています。 まだ始まったばかりで、むしろここから。これからのヴィンテージの積み重ねが楽しみな造り手です。